本文へスキップ

○○町の○○○科クリニック。ホーム動物病院です。

電話でのご予約・お問い合わせはTEL.0265-96-0387

〒399-4511 長野県上伊那郡南箕輪村7402-2

整形外科Orthopedic Surgery

整形外科症例紹介

症例1 膝蓋内方脱臼

このワンちゃんは、膝の前方にある溝が浅い為、この溝をすべる膝蓋骨という骨が内方に脱臼してしまう病気です。

今までは、脱臼しても自分で足を伸ばして、自力で脱臼を治していましたが、それも、上手くできなくなり、膝に強い痛みが出てきました。飼い主さんの希望によりお薬で様子を見ていましたが、だんだん足の筋肉が細くなってきたので、手術を実施することになりました。

手術は、以下の4点を実施しました。

@溝を深くする。
A内側の筋肉の緊張を和らげる手術
B外側の筋肉が緩んでいるので緊張させる手術
C内側に脱臼しないように人工の壁の設置(金属の人工プレートを埋め込みます。)

以下、手術前の写真と手術後の写真です。

正常では、膝の骨の上に楕円形の骨(膝蓋骨)が観察できますが、脱臼しているワンちゃんでは、楕円形の骨が膝の骨に重なってしまいます。手術後、人工のプレートと重なって確認し難いですが、楕円形の骨(膝蓋骨)が、大きい骨の上に確認できます。

写真1 正常な膝

骨の上に柿の種のような骨が載っています。これは、正常です。

脱臼した膝

骨の上の柿の種のような骨がはっきり確認できません。脱臼して骨と重なっています。

手術後

プレートと重なって確認しにくいですが、柿の種のような骨が骨に載っているのが、確認できます。
手術後の経過は、良好です。反対側の足も膝蓋内方脱臼の傾向があるので、今後注意が必要です。


症例2 椎間板ヘルニア

このワンちゃんは、ミニチュアダックスのモカちゃんです。一週間前より左足を引きずり、来院時は両足がうまく動かせず歩くことが不可能な状態になっていました。(完全麻痺)

レントゲンと神経学的検査より椎間板ヘルニアと診断がつきました。内服を処方しましたが、若干の改善は見られましたが、歩行は、不可能でした。深部の痛覚がまだ存在する為、手術により歩行ができる可能性がありましたので、片側椎弓切除術と神経の圧迫している椎間板物質の除去手術を行いました。

脊髄造影検査

レントゲン写真の中央の左から右に白い二本の線があります。この上の線が脊髄の上のラインとなり、下の線が脊髄の下のラインになります。下のラインのちょうど左右真ん中ぐらいで、線が上に窪んでいるのが解ると思います。この窪みが、飛び出してしまった椎間板です。




脊髄造影検査

レントゲン写真中央の上から下へ二本の白い線があります。(若干、わかりずらいかもしれません。)左側の線が中央あたりで、右側に窪んで線が不明瞭なのが解ると思います。この窪みが、飛び出してしまった椎間板です。

以上の検査より右側の胸椎(背骨)11番目と12番目の間の椎間板が上に飛び出して脊髄神経を圧迫している事が、判明しました。手術により、椎弓という脊髄の上の天井の骨を削り、飛び出してしまった椎間板を除去し、無事、脊髄の圧迫を解除できました。

下の写真が、手術翌日の写真と手術2週間後の写真です。

手術翌日

後ろ足で体が支えられず、開脚しています。

手術2週間後

後ろ足で体が支えられます。現在、正常な歩行が可能です。



症例3 橈骨骨折


1歳2か月のイタリアングレーハンドのフランちゃんです。右手の橈骨(橈骨)・尺骨(しゃっこつ)という骨が骨折してしまいました。非常に運動量が多いワンちゃんですので、強固な固定が必要です。通常T字型のプレートを使用するケースが多いのですが、ちょうどネジを入れる穴が、骨折部位に当たる為、直線のプレートを使用しました。

骨折レントゲン

この骨折は、人間で言い換えますと手首と肘の間の骨折になります。画像下が手の先端側、画像上が肘側になります。どちらかというと手首に近い側が骨折してしまったイメージです。また、骨が二本ならんで見えますが、左が橈骨という骨、右が尺骨という骨です。

手術後

骨折したところに、直線のプレートを載せ、骨折したところの上に4本のネジ、骨折したところの下に3本のネジを入れてあります。骨折した線が僅かに確認できます。また、向かって右側の尺骨という骨には、プレートを付けず、骨折断端のみ合せます。

術後3か月後

やや見えずらい画像ですが、骨折の線は、完全に消失しています。現在は、通常歩行しています。

フランちゃん

このワンちゃんは、骨折手術前に肝炎を起こしていましたので、飼い主さんの希望により、プレートとネジの除去はせず、様子を見る事にしました。(プレートとネジの除去には、麻酔を掛けなくてはいけません。)



症例4 脛骨形成不全症


6か月齢のミニチュアダックスのフウ太郎です。脛骨形成不全症という病気にかかり、踵より上の骨が内側に曲がってしまう病気です。この病気は、8か月齢になってから手術すべきかどうか考えます。もし、生活に支障(転ぶ、ビッコなど)がある場合は、10か月齢前後までに矯正手術を実施した方が、 良いです。

手術前

向かって左側の骨が内側に曲がっています。10ヶ月齢を過ぎたところでも、ビッコが認められたので、矯正手術を実施しました。

手術後

手術は、ハイブリット型創外固定器というものを使用します。最初に曲がっているところの骨を切断し、骨を真っ直ぐにした状態で、ハイブリット型創外固定器で固定します。この器具の特徴は、手術後に通常の歩行が出来ます。骨の白い部分が黒く抜けているところが、骨を切って真っ直ぐにしたところです。この部分が徐々に骨で埋まってくると白くなります。

手術6週間目のレントゲン

骨にあった黒い部分が白くなってきています。骨の再生が十分に進んでいます。

手術後、矯正器具が外れたレントゲン

向かって左側の骨が真っ直ぐになっています。以前は、走る時に、足を上げていましたが、今では、全速力で走ることが可能です。

ハイブリット型創外固定器の装着時の写真

足の動きを妨げないような構造をしています。


症例5 前十時靭帯断裂


チワワのクリンちゃん(5歳)は、車に乗ろうとして足を引っ掛けてしまってから、左後ろ足がビッコになっているという事で、来院しました。

診察において、膝の動揺感が認められ、前十時靭帯断裂が疑われます。そこで、レントゲン撮影を行いました。

正常な右足

大まかに見ますと、上下一本ずつ骨があり、真ん中で接しています。この接している部分が、膝の関節です。二本の骨が直線的に並んでいるのが、解ると思います。これは、正常です。

異常のある足

上の写真と比べて、下の骨が向かって左側に飛び出しているのが解ると思います。これは、前十字靭帯が切れている事を意味しています。
小型犬の場合、部分断裂の場合は、程度によりますが、内科療法で歩行可能です。しかし、今回のケースでは、完全断裂ですので、外科手術が必要と思われます。

しかし、手術しないで済むなら、これにこしたことはないと思いますので、一週間、痛み止めを飲みましたが、ビッコは、依然として同じでした。

飼い主さんとご相談の結果、まだ、若いので、しっかり手術して、以前のように歩行させたいとのことでした。

手術は、人工靭帯を設置します。また、手術に伴い、断裂した前十字靭帯の除去し、損傷した半月板の除去が、必要になります。以下が手術後の写真です。

手術後見出し

下の骨が左側に飛び出していないのが、解ると思います。また、人工靭帯を通す穴が下の骨に開いています。(下の骨部分に黒く抜けている部分があります。これが、骨に開けた穴です。写真のちょうど真ん中より下です。)
手術後、順調にリハビリを実施し、現在通常に歩行しています。

症例6 猫の下顎骨折

猫のファルちゃんは、脱走後に帰宅したのですが、口から出血と涎が認められるとの事で来院しました。口を痛がり、食事を取れないそうです。見た目には、下顎が歪んで見えました。

そこで、最初にレントゲン撮影を行いました。以下が、そのレントゲン写真です。

下顎骨折

明らかに下顎が、骨折し、顎がずれています。真ん中に柿の種の様なものが見えますが、これは、下顎が、右側で、骨折してしまって、犬歯(右下顎の犬歯)が移動してしまっています。
このケースの場合、手術以外の方法は、ないと思います。
手術は、ワイヤーで治しますが、骨折部位が、比較的先端に近く、二本のワイヤーを設置するのは、厳しいようです。
逆に一本のワイヤーで、強固かつ骨がずれない位置にワイヤー入れないといけません。顎骨折は、比較的容易に思われますが、実はズレて治ると大変な事になります。

というのも、人間の場合は、歯が、箱状に並んでいますが、猫の歯は、エベレストの様な形をした歯が、顎に沿って並んでいますので、顎がずれた状態で治ると口が、完全に閉じられずに、半開きになってしまいます。

よって、力学的に最適な位置のワイヤー設置が必要となります。

以下が手術後のレントゲン写真です。

ワイヤー設置後の写真

正しい位置に整復できていると思います。

手術2か月後の写真

咀嚼に問題なく、見た目も正常と同じです。


治療方針に戻る

Home Animal Hospitalホーム動物病院

〒399-4511
長野県上伊那郡南箕輪村7402-2
TEL 0265-96-0387
FAX 0265-96-0387